台湾の異なる生息地から収集したZoysia属の栄養系における塩類耐性の変異
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概要
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台湾の海岸沿いから収集した115のZoysia属の栄養系における塩類耐性の変異について調査した.台湾に自生するZoysia属は,様々な地域から収集した栄養系の間に塩類耐性について大きな変異を示した.年降水量が豊富で石灰岩質の地域から収集した栄養系はNaCl耐性が低く,3%のNaClの条件下では,3週間以内に地上部の枯死率が100%を示すものがあった.反対に,降水量の少ない地域から収集した栄養系では7.5%のNaClで3週間処理した場合でも2,3枚の緑葉を維持するものがあった.6%のNaClで処理した場合の栄養系の地上部100%枯死率とその栄養系の収集地域の降水量の間には,正の相関関係が認められた.しかしながら,同じレベルの降水量でも,石灰岩質の地域から収集した栄養系は,他の地域から収集した栄養系よりも地上部枯死率が高い値を示した.そこで,NaCl耐性と感受性の両方を含む4つの栄養系を用いて,塩類ストレスに対するCaの影響を調査した.培養液にCaCl_2を加えることにより,NaClによる葉からの電解質溶出や葉の黄化を軽減することができた.以上のことから,Zoysia属の塩類耐性の地域的変異は,生息地の地質や降水量によって影響され,土壌中のカルシウムと塩の濃度の違いによって生じるものと考えられた.
- 2001-12-05
著者
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