歯科矯正用レジン材料の細胞毒性について(in vitro)
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概要
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矯正歯科の臨床においては光重合レジンが数多く用いられているが,生物学的安全性についての感心は高いと考えられる.そこで,フッ素徐放性の光重合型歯科矯正用接着材に添加したNaFの濃度,ならびに矯正用光重合レジンの光照射条件による細胞毒性への影響を検討するため,ヒト由来の正常細胞を用いた3次元組織モデル(Toyobo)による細胞毒性試験を行った.その結果,NaFの濃度が細胞毒性に及ぼす影響は,実験範囲内の0〜3.0%までNaFの添加量が増すにつれて細胞毒性が強くなる傾向が認められた.光照射条件が細胞毒性に及ぼす影響は,Apollo95E Eliteで光照射した場合,光照射時間が3秒および6秒では強い細部毒性が認められた.9秒の照射時間では,Kuras・per F paste,Light bond adhesive paste,Fuji ortho LCは緩やかな細胞毒性であったが,Kurasper F F-BondとLight bond sealant resinではやや強い細胞毒性が認められた.20秒の光照射では,Kurasper F-Bond,Light bond sealant resinはそれぞれ中等度の細胞毒性であったが,他の材料はほとんど細胞毒性が認められなかった.CU 100 RLCで光照射した場合,光照射時間が20秒および30秒ではKurasper F F-bondとLight bond sealant resinでやや強い細胞毒性が認められ,他の材料では中等度からほとんど細胞毒性が認められなかった,40秒の光照射ではKurasper F F-bondのみ中等度の細胞毒性で,他の材料では陰性対照群と差が認められなかった.Lightel DP-075の場合,光照射時間が20秒でいずれも強い細部毒性が認められた,30秒および40秒の照射時間ではKurasper F F-bondとLight bond sealant resinで強い細胞毒性を示し,Kurasper F paste,Light bond adhesive pasteでは緩やかな細胞毒性を示した.他の材料ではいずれも中等度の細胞毒性を示した.今後,細胞毒性を考慮して歯科矯正用フッ素徐放性レジンを使用する必要があると考えられる.
- 大阪歯科学会の論文
- 2002-06-25
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