ラット顎関節グリコサミノグリカンの加齢変化
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概要
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顎関節グリコサミノグリカン(GAG)の加齢に伴う動態を知る目的で, 3, 5, 10, 15, 30および50週齢のラット顎関節におけるGAGの局在を組織化学的および免疫組織化学的に観察するとともに, 顎関節におけるGAGを抽出し生化学的分析を行った. その結果, 組織化学および免疫組織化学的には, 下顎頭, 下顎窩および関節円板にヒアルロン酸, コンドロイチン硫酸, デルマタン硫酸およびケラタン硫酸の局在が観察された. 加齢に伴ってコンドロイチン硫酸に対する反応は減弱し, デルマタン硫酸およびケラタン硫酸に対する反応は増加した. しかし, ヒアルロン酸の加齢に伴う変化は明らかでなかった. 一方, 生化学的には, ヒアルロン酸, コンドロイチン硫酸, デルマタン硫酸およびケラタン硫酸が同定された. 3週齢と50週齢のGAGの構成比率を比較すると, 総GAGの主体をなすコンドロイチン硫酸は66.8%から53.2%に, ヒアルロン酸は22.6%から14.3%にそれぞれ低下し, デルマタン硫酸は6.4%から14.4%に, ケラタン硫酸は4.2%から18.1%に上昇した. また, 組織乾燥重量あたりのGAG量(ウロン酸量)は加齢に伴って3.0μg/mgから0.9μg/mgへと減少した. 以上の結果は, 顎関節組織が加齢とともに弾性を失い, 圧負担に対する緩衝能力を減弱させていくことを示唆すると考える.
- 1993-04-25
著者
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