動的抽出下における歯冠修復および補綴用金属材料の溶出と細胞毒性
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
咬摩耗がおこる部位で使用される歯冠修復あるいは補綴用金属材料の細胞毒性を評価する目的で, タイプIV金合金, 3種の鋳造用銀合金 (金銀パラジウム合金, 銀スズ合金, 銀インジウム合金), ニッケルクロム合金および純チタンを種々な抽出液中で240rpmの旋回条件で7日間にわたって動的抽出した. そして, 抽出液を濾過して濾液および摩耗粉の細胞毒性ならびに濾液中の溶出金属量をしらべた. その結果, タイプIV金合金, ニッケルクロム合金, チタンではいずれの濾液においても細胞生存率はほぼ対照群に近い値であった. しかし, 3種類の鋳造用銀合金では抽出液の種類によって細胞生存率が異なった. とくに, MEMおよび0.4%アルブミン含有MEM中の鋳造用銀スズ合金で著しい細胞生存率の減少が認められた.ー方, 摩耗粉についてはチタンを除くすべての合金において細胞生存率の減少が認められた. また, タイプIV金合金では抽出液の種類によって摩耗粉の細胞毒性は異なっており, 0.4%アルブミン含有MEMでは細胞毒性は減弱化した. 各合金からはそれぞれの組成元素の溶出が認められた. とくに, タイプIV金合金および鋳造用金銀パラジウム合金から選択的な銅の溶出が, 鋳造用銀スズ合金および銀インジウム合金からは亜鉛の著しい溶出が認められた. また, ニッケルクロム合金からはニッケルが溶出した. しかし, チタンからのチタンの溶出は検出できなかった. 以上の結果から, 動的抽出法において抽出液の種類は合金からの組成元素の溶出挙動に影響し, 濾液ばかりでなく摩耗粉の細胞毒性にも影響することが明らかとなった. この結果は, 咬摩耗を受ける部位で使用される歯冠修復および補綴用金属材料のin vitroでの細胞毒性試験の実施に当たって有益な示唆を与えるものと考える.
- 大阪歯科学会の論文
- 1992-08-25
著者
関連論文
- 歯科材料の象牙質透過性(in vitro) : ユージノールの象牙質透過性
- A-22 歯科材料の象牙質透過性 : ユージノールの象牙質透過性
- P-25 細胞毒性評価に影響する因子についての一考察
- 動的環境下におけるAg-Cu二元合金の溶出挙動について(in vitro)
- P-39 316Lステンレス鋼の溶出に関する研究 : とくに, 浸漬液の影響について
- A-32 材料の免疫学的研究 : (1)モノクローナル抗体作製の試み
- 動的抽出下における歯冠修復および補綴用金属材料の溶出と細胞毒性
- 動的抽出下における歯冠修復および補綴用金属材料の溶出と細胞毒性
- 3 動的抽出下における歯冠修復および補綴用金属材料の溶出と細胞毒性 (第410回 大阪歯科学会例会)
- P-34 細胞の回復能力からみた歯科材料の生物学的評価 : 各種金属について
- A-35 細胞数画像解析自動算定法