Vitamin C 欠乏および卵巣摘出によるラット下顎頭変化の免疫組織化学的研究
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概要
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Vitamin C 欠乏状態での下顎頭の変化に関する詳細な報告はなく, また卵巣摘出により下顎頭軟骨は軟骨内骨化が障害されるといわれているが, Vitamin C 欠乏状態で卵巣摘出を行い, 下顎頭の変化を検索した報告はない.そこでアスコルビン酸合成能欠如ラット(以下, ODSラット)を用いて卵巣摘出を行い, 下顎頭の変化を組織学的に検討するとともに, コラーゲンの局在について免疫組織化学的に検索した.実験には8週齢Wistar系ラットおよびODSラットを用い4群に分けた.すなわち第1群:Wistar系ラット非卵巣摘出群, 第2群:Wistar系ラット卵巣摘出群, 第3群:ODSラット非卵巣摘出群および第4群:ODSラット卵巣摘出群とした.実験開始後2, 4および6週に標本を採取し組織学的に検討した.またI型, II型およびX型コラーゲンの局在をLSAB方にて免疫組織化学的に検討した.組織学的には第1群では肥大軟骨細胞層は緩徐に薄くなり, 第2群, 第3群および第4群では一時的に肥大軟骨細胞層は厚くなっていたが, 第2群は6週では第1群と差がなく, 第3群と第4群は菲薄になっていた.I型コラーゲンについては第2群は第1群と同様の陽性反応を認めたが, 第2群と第4群では4週以降では陽性反応が減弱していた.II型コラーゲンについては第2群は第1群と同様の陽性反応を認めたが, 第3群と第4群は6週には陽性反応が減弱していた.X型コラーゲンについては第2群は6週で陽性反応が減弱し, 第3群は4週で減弱し6週でほとんどみられなかった.また第4群では4週以降に陽性反応はほとんど認められなかった.以上の結果よりVitamin C 欠乏は下顎頭軟骨の菲薄化を生じ, 軟骨内骨化の過程を障害することが確認された.これに卵巣摘出によるエストロゲン欠乏が加わると, さらに骨および軟骨の脆弱化が認められることが判明した.
- 大阪歯科学会の論文
- 2000-03-25
著者
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