インプラント治療に対するGTRの応用 (第2回大阪歯科学会シンポジウム 組織誘導再生法(GTR)の現状と将来の展望)
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概要
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Guided tissue regeneration (GTR) に関する最初の報告は1982年 Nyman らによるものである. 歯周疾患に関する研究中に歯根膜由来の組織増生が上皮および歯周結合組織の歯根面への接触をコントロールすることにより誘導されることを発見した. 以後, 高度の歯周疾患に罹患した歯の新付着を獲得するために臨床に応用されてきた. さらに近年ではインプラントの埋入に際しての応用が盛んとなりつつある. 初期のインプラントによる冶療はおもに下顎のオトガイ孔間に5〜6本のインプラントを植立し, 骨接合タイプの固定性ブリッジのみを作製していた. それはインプラントを植立できる場所が解剖学的な制限のために限られていたからである. しかし細胞の浸潤を断つことのできる遮断膜を利用することにより希望する組織の増生を誘導することが可能となったGTR法を用いるとインプラント埋入の際に不足する骨の増生を期待できる. とくに骨の増生を目的とする組織誘導再生法のことを guided bone regeneration (GBR) と呼んでいる. それまで骨量の不足した症例には体のほかの部位から骨を採取して移植していた. できれば必要な部位で骨が十分に増生できれば理想的である. この目的にかなう方法がGTR法であった. 現在GTR法はおもに歯周領域とインプラント領域において利用されている. 手術術式に関してはまだまだ煩雑な部分もあるが, 材料は改良され操作は簡単になってきている. 補綴に関してはインプラントによる治療が多くの利点をもっていることから徐々に増加している. 今後さらに広範囲の骨欠損の症例に対応すべくこの分野での研究開発が進むものと考えられる.
- 大阪歯科学会の論文
- 1999-03-25
著者
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