乳歯列期における歯間空隙の発現率およびその消長に関する研究
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概要
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近年, 生活の多様化と食生活の変化によって増加しつつあると考えられるものに, 歯列不正, 咬合不正, 顎関節不全などの問題がある. そこで, 日本人小児における乳歯列の配列, とくに歯間空隙の実態を知る目的で, 縦断的に観察のできた幼稚園児520名について, 1987年から3年間にわたり, 毎年1回定期的に診査し, 霊長空隙 (PS), 発育空隙 (DS) および上顎乳犬歯と上顎第一乳臼歯間に存在する歯間空隙 (CD) の発現率ならびに空隙量についてそれぞれ計測し, 次のような結果を得た. 1) 有隙型歯列の発現率は, 加齢的に減少した. 2) PSの発現率は, 上顎が下顎より発現率が高く, 加齢的に減少した. 3) CDの発現率は, 男女ともに4歳から5歳で増加し, 5歳から6歳で減少する傾向を示した. 4) DSの発現率は, PS (+) 歯列のほうが, PS(-) 歯列より高かった. 5) PS, CDおよびDSの経年的変化は, いずれも無変化型が最も高い発現率を示した. 以上の結果から, 日本人小児の正常な永久歯列の構成に必要な乳歯列における各歯間空隙の発現率ならびに空隙量の消長を明らかにすることができた. また, 過去の数値と比較して, 各歯間空隙の発現率ならびに空隙量の減少傾向の顕著なことが明らかになった. これらのことから, 乳歯列における早期の予防矯正的な対策の必要性が認められる.
- 大阪歯科学会の論文
- 1992-12-25
著者
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