アナボリック ステロイドがラット頭蓋顔面の成長発育に及ぼす影響について
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概要
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アナボリック ステロイドは骨粗鬆症の治療薬として用いられ, 最近ではターナー症候群による発育不全の患者に対する成長促進剤としても使用されている. 今回アナボリック ステロイドの連続投与が, ラット頭蓋の成長発育にどのような影響を及ぼすかについて検討した. 実験にはS. D.系雌性ラット5週齢120匹を用いた. 実験群には, nandrolone phenylpropionate 1mgを, 対照群には, vehicleとしてarachis oilを, それぞれ隔日に肩甲骨間部に皮下注射し, 10日ごとに体重を計測した. 生後60日, l20日目に屠殺し, 軟エックス線撮影装置にて36kVp 2mA 30sec, 焦点フィルム間距離27cmの条件で頭部エックス線規格写真を撮影して, Engstromらの方法に従ってパーソナルコンピューターを用いて分析を行った. その結果, 実験群は対照群と比較して1) 体重が約20%増加していた. 2) 頭蓋の全長が増加していた. とくに顔面頭蓋を形成する骨の増加が著しかった. 3) 上下顎切歯の歯冠長が増加していた. 4) アンチゴニアル・ノッチの深さが増加していた. 5) 顔面頭蓋の脳頭蓋に対する成長方向が前下方に変化した. 以上のことからnandrolone phenylpropionateの連続投与は, 雌性ラットの頭蓋の成長発育を促進させ, また咀嚼筋機能を亢進させることが示唆された.
- 大阪歯科学会の論文
- 1992-02-25
著者
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