Bacteroides endodontalisの外膜蛋白の免疫化学的性状ならびに同蛋白に対する根尖性歯周炎病巣部における特異免疫応答
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概要
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Bacteroides endodontalis HG370 (=ATCC 35406) 株の凍結乾燥菌体を超音波破砕し, 遠心により細胞エンベロープを得た. 同エンベロープを, ラウロイルサルコシン酸ナトリウムついでリチウムドデシル硫酸を用いて処理し, 同菌体から外膜蛋白を抽出し, Sephacryl S-200HRカラムによるゲル濾過, さらにDEAE-Sepharose Fast Flowカラムを用いてNaCl直線濃度勾配法による溶出を行い, 2つの蛋白のピーク, すなわちOMP-IおよびOMP-IIを得た. SDS-PAGEによる分析の結果, OMP-Iの主要構成成分は31K蛋白であり, このほかに15.5K, 28K, 52Kおよび71Kの蛋白バンドの混在が, またOMP-II画分では, 15.5K, 27Kおよび44Kの3本の主要な蛋白バンドが認められた. 寒天ゲル内沈降反応の結果, OMP-IとOMP-IIの間には, 共通抗原が存在するとともに異種抗原も存在することが明らかになった. リムルステストの結果, OMP-IおよびOMP-IIには, それぞれB. endodontalisのLPSの15.4%および16.2%に相当する活性が認められた. リポソーム膨張法によりポーリン活性を調べた結果, OMP-I画分には明確な活性が認められたが, OMP-II画分は同活性がほとんど認められなかった. ELISPOT法を用いて, 慢性根尖性歯周炎患者の病巣部組織における抗体産生細胞について検討した結果, 歯根嚢胞および歯根肉芽腫の病巣部組織の抗原非特異的な抗体産生細胞は, 分泌される免疫グロブリンのクラス別にみるとIgG>IgA>IgMの順に多かった. また, この方法により歯根嚢胞の病巣部組織では, OMP-IIに対する特異免疫応答が誘導されていることが明らかになった. しかし, OMP-IおよびLPSに対する特異抗体産生細胞は認められなかった. 一方, 歯根肉芽腫の病巣部組織中には, B. endodontalisの菌体表層抗原に対する特異抗体産生細胞は検出されなかった.
- 大阪歯科学会の論文
- 1990-02-25
著者
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