クローズドロック患者における基本運動時の外側翼突筋 (上・下頭) の筋電図学的特徴
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概要
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顎関節症クローズドロック症例と正常者との咀嚼筋活動の相違を明らかにすることを目的として正常者8名およびクローズドロック患者9名の外側翼突筋上頭(SLpt), 下頭(ILpt), 顎二腹筋前腹(Da), 側頭筋後部(Tp), 咬筋(Mm)および胸鎖乳突筋(Scm)の基本運動中の筋活動を記録した。被検運動は下顎安静位, 開閉口, 前突および後退, 側方運動, 噛みしめ, タッピングを行わせた。下顎運動の記録はMKG K 6 Diagnostic systemを用いて記録した。正常者ではSLptに前突および後退, 側方運動時, タッピング時, ILptとの明瞭な相反性活動が認められた またSLpいま中心咬合位での咬みしめ時, 同側側方運動時に著明な活動がみられ, Tpとの協調性活動が考えられた。SLptおよびILpは患者では全般的に活動の低下が認められた。ILptは正常者においても前突, 側方運勤のほかに, 咬みしめ時にも活動がみられ, その程度には個人差がみられた。正常者のようなSLptとILptの相反的な活動はみられず, ILptが咬合相にも活動し, 協調性が失われていた。疼痛による影響と思われる筋活動の抑制がみられ, 開閉口, 前突運動時の筋電図原波形の外形線も不規則であった。DaはILptの抑制された症例ではILptを代償して活動していることが考えられた。Tp, Mmは咬合時疼痛を訴える患者では咬合力が十分でないためと思われる活動の低下が観察され, Tpに自発放電がみられる被検者もいた。Scmについては, クローズドロック患者のなかには開口時にも活動がみられることが多かった。以上のように外側翼突筋(上・下頭)および咀嚼筋の筋電図はクローズドロックの診断に有用であることが示唆された。
- 1997-06-25
著者
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