パノラマ画像における画像形態学的指標の数値化
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概要
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近年の画像診断機器の発展とは裏腹に, 画像所見はまだまだ言葉による表現のままである. とくに大きさ, 位置といった診査項目は, 個体差や撮影誤差を排除できず詳細な比較分析の障害となっている. そこで, 顎口腔領域において, 大きさ, 位置, 侵襲範囲といった言葉による表現の基となる画像形態学的指標を数値化し, 顎骨画像の任意の位置を数値によって現わし, 詳細な比較分析をこころざした. まず, すべての疾患を表示する画像として共通性, 撮影頻度からパノラマ画像を選択した. そこで, パノラマ画像に写る解剖学的構造物の相対的位置関係を調べ, その平均値を基に標準画像の基準となる値を設定した. パノラマ画像は, 個体差, 撮影誤差によって構成される画像が変化するため, これを適正または理想条件下での画像へ補正が必要である. そこで, 本学放射線科に所蔵するパノラマ撮影装置3機種の固有断層軌道中心の図面から実寸模型を作製し, これを使って実際に撮影したパノラマ画像から補正用テンプレートを作製して, 画像変形の傾向を調べ補正法を検討した. これらの検討と画像形態学的指標の基準値から,「標準となるパノラマ画像」を作製した. 臨床での画像を「このパノラマ画像」に置換し, この標準画像上を計側することで, 病巣範囲, 位置などを数値として「表示可能」になると考える. この標準画像上を計測した値は, 置換前の値とは異なり, 症例ごとにも異なる。そのため比較検討する際, 混同することが予側される。そこで標準画像上を計測した値に対する単位は, 混同を避けるため, mm単位の後部に研究者(nishifuji itagaki kamada and koseki)の頭文字[NIK]の文字をつけ, mm2NIK, mmNIKと表わす. 今回の数値化で, 個体差にとらわれない, 病巣の侵襲範囲を表現でき,「病変」と「歯列, 発現領域」の関係および, 病変の「サイズ変化」,「拡大方向の推移」の分析を考えている.
- 大阪歯科学会の論文
- 1997-03-25
著者
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