イネのいわゆる異常肥大タピータムの本質について
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概要
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イネタペートの異常は次記のごとくに大別される。〔第1〕アメーバ状異常 : タペート細胞膜の消失, 細胞内容物の増加, それらの集合流動。〔第2〕球状異常 : タペートからの分泌物の葯胞内凝塊。さらに筆者は〔第3〕として, タペートがtransitory tissueから完全に離れて葯胞内随所に団塊を形成する場合をも観察した。以上3つの場合を下図に示した。〔第1〕と〔第3〕とは, 多核性タペート細胞の時期に起れば多核性を呈するが, 特に第1の場合には, 時間の経過とともに核は消化されて消失する。〔第2〕の葯胞内球体(分泌物の塊り)は, 元来, 無核であるが, 小胞子群を包囲すれば, 小胞子の核が球体内に見られる。分泌物の塊りを「風船型肥大」と称するのは不適当である。上記3種の異常部分には, 濃く, あるいは淡くペクチン質の呈色反応が現われる。それゆえ, 「小胞子により吸収されずに残るタペート異常部分または分泌物」並びに「それらの膠質性の異常」の起因は, 小胞子の吸収能力の低下のみでなく, タペートに内在する各種ペクチン酵素の活性でもあると推定される。
- 1967-02-25
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