水稲の巨大な多核小胞子合体について
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概要
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1) 花粉母細胞の減数分裂の第1,第2分裂を通じて, 胞子間の仕切り膜が生じないことにより多核胞子となるものかある(第1図)。 2) 花粉母細胞間に仕切りが無く, 2個乃至3個の花粉母細胞が合体して, 最大12個の核が観察されるものがある(第2図-連続切片による推定図)。 3) 上記合体胞子は巨態を呈し, その表面近く核が存在し, 合体細胞質がさらに膨らむにしたがって細胞質表面は籠目状紋様を呈するようになる(第3図)。 4) 籠目状になった後には, この巨大な多核性合体胞子は中空になる。籠目状紋様は, 多分, 内殻のそれであろうが, この紋様がまだ現われない時期においても, また現われた後においても, 外殻及び発芽孔は全く形成されない。 以上, 合体胞子では仕切り膜や外殻の形成不良が顕著な特徴である。そしてこの事と, タペート細胞群の横隔膜が消失して異常肥大(第4図)が起ること, 及び少数タペート細胞の葯腔側の膜が消失して異常分泌(第5図)が起ることとは無関係ではなく, 冒頭に述べたとおり, これらは部分雄性不稔稲に常時出現するものである。
- 1968-01-25
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