米国多国籍企業在日子会社の1980年代に於ける株式公開について
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概要
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米国多国籍企業は、海外子会社の完全所有を旨としているため、これら子会社の株式を公開することは極めて稀なことと言われている。然るに、1986年から1991年にかけて米国企業の在日子会社10社の株式が公開された。本稿は、何故これら米国親会社が完全所有政策を放棄するに到ったか、また、株式公開基準を満たした在日子会社225社のなかで何故これら10社だけが株式公開されたかを、「日米市場格差」と「最適内部資本市場化」の二つの仮説を通して分析する。一般的な株式公開利害得失論は、クロス・ボーダーの子会社株式公開を説明するに充分ではない。これら米国親会社は、「機を見るに敏な投資家」であり、過半数の株式所有を維持しながら日米資本(株式)市場格差や円・ドルの推移に着目して株式売却益最大化を図った。業績低迷の米国親会社の資金ニーズを満たし、親会社株主の投資価値最適化を目論んだのである。
- 国際ビジネス研究学会の論文
- 2004-09-30