シクロプロペン構造を有する脂肪酸とそのアミド体 : カイコガ性フェロモン生合成の阻害剤
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概要
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11, 12-メチレンヘキサデク-11-エノイック酸とそのアミド体を, トリブロモシクロプロパン化合物を脱ブロム化後アルキル化する方法(Bairdら, 1992)を用いて合成した.それら化合物のフェロモン生合成に及ぼす影響をカイコガ処女雌を用いて検討したところ, フェロモン腺への処理はボンビコール含量の低下をもたらした.また, ^<14>C標識あるいは^2H標識ヘキサデカン酸を利用した実験において, 上記のシクロプロペン化合物をフェロモン腺あたり1μg前処理すると, 生合成前駆体のボンビコールおよび(Z)-11-ヘキサデセノールへの変換が完全に抑えられ, ヘキサデカノールヘの変換は逆に促進された.以上の結果より, これら11-位にシクロプロペン構造をもつ化合物は, ボンビコール生合成の不飽和化の過程(11-位とおそらく10, 12-位不飽和化反応)を阻害することが明らかになった.一方, ニトリル誘導体はフェロモン生合成阻害活性を示さなかった.
- 日本農薬学会の論文
- 1995-02-20
著者
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池本 和久
農工大・応用生物
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矢島 陽子
Department Of Applied Biological Science Faculty Of Agriculture Tokyo University Of Agriculture And
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安藤 哲
Department of Applied Biological Science, Faculty of Agriculture, Tokyo University of Agriculture an
-
大野 竜太
Department of Applied Biological Science, Faculty of Agriculture, Tokyo University of Agriculture an
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池本 和久
Department of Applied Biological Science, Faculty of Agriculture, Tokyo University of Agriculture an
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大野 竜太
農工大・応用生物
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