微生物群集と単離細菌による低濃度の 2, 4-dichlorophenol の分解に及ぼす栄養塩類の影響
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概要
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地下水の微生物群集は0.1μgC/mlの2, 4-dichlorophenol(DCP)を分解しなかった.この試水にリン酸塩あるいは硝酸アンモニウム塩を添加するとDCPは分解された.0.1μgC/mlのDCP分解菌は, DCPを含む無機(MS)培地を用いた最確数(MPN)法で求めると, これらの栄養塩類の添加の有無にかかわらず, 2∿5週間で0.43cell/mlから10^4∿10^5/mlに増加した.これらの結果はこの地下水ではリン酸塩あるいは硝酸アンモニウム塩は0.1μgC/mlのDCP分解菌の分解能の発現に必要であり, 増殖には不要であったことを示唆する.しかしながら, この地下水からの三つの単離細菌はDCP分解能の発現に際してさまざまな栄養塩類の要求性を示した.すなわち, 一つの単離細菌は濾過滅菌した地下水で純粋培養すると, 硝酸アンモニウム塩が添加されたときのみ0.1μgC/mlのDCPを分解した.他の一つの単離細菌はリン酸塩が添加されたときのみDCPを分解した.そして, 残りの一つの単離細菌はこれらの塩類の添加の有無にかかわらずDCPを分解した.これらの単離細菌の密度は, これらの栄養塩類の添加の有無にかかわらず, 10^6∿10^7/mlに増加した.DCP分解能の発現に際して, 微生物群集と単離細菌の塩類添加に対する反応の違いについて考察した.
- 1991-02-20
著者
-
瀬戸 昌之
Tokyo University Of Agriculture And Technology
-
Martani Erni
Tokyo University Of Agriculture And Technology:(present Address)laboratory Of Microbiology Faculty O
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