殺虫剤カルタップ塩酸塩からネライストキシンへの化学的・光化学的変化
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概要
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殺虫剤カルタップ塩酸塩[1, 3-bis(carbamoylthio)-2-N, N-dimethylaminopropane hydrochloride]を, 酸化剤NBS(N-bromosuccinimide)で処理すると, ネライストキシン(4-N, N-dimethylamino-1, 2-dithiolane)が生成した.紫外線照射の光源は, 液体溶液中では高圧水銀灯(λ>300nm), 固体表面上では, 波長が254と373nmの紫外灯をそれぞれ用いた.いずれの場合もネライストキシンが生成した.カルタップはシリカゲル表面上ではより速く分解された.これはシリカゲルが持つ大きな表面積が原因であろうと思われる.本実験の結果より, ネライストキシンはカルタップが加水分解後に酸化されて生成するほかに, 生体内でも, 環境中でもカルタップの直接酸化によって生成することも推測される.カルタップの光反応は光増感作用を持ったrose bengalとchlorophyllin等によって強く促進された.自然界に葉緑素が大量に存在しているので, chlorophyllinの増感作用はrose bengalより興味深い.
- 日本農薬学会の論文
- 1989-02-20
著者
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曹 栄
Laboratory Of Pesticide Chemistry Department Of Agricultural Chemistry Kyushu University
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江藤 守総
Laboratory of Pesticide Chemistry, Department of Agricultural Chemistry, Kyushu University
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