プロパホスのツマグロヨコバイとハスモンヨトウに対する殺虫選択性の機構
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概要
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プロパホスはツマグロヨコバイには殺虫力を示すがハスモンヨトウに対して殺虫力をもたない.プロパホスは両者の昆虫により代謝されるが, ツマグロヨコバイでは代謝物としてプロパホススルホキシドとプロパホススルホンがおもに生成し, ハスモンヨトウではこれらのプロパホス酸化体の生成は少なく, 分解物である4-methyl-sulfinylphenolと4-methylsulfonylphenol また水溶性代謝物の生成量が多かった.プロパホスのin vitroにおけるアセチルコリンエステラーゼ(AChE)に対する阻害力は弱いが, 酸化体は両者昆虫体ホモジネートのAChEに対して阻害力を示した.また, プロパホスを局所施用した昆虫のAChE活性を測定したところ, ツマグロヨコバイでは施用4時間後から顕著な活性の低下が認められたが, ハスモンヨトウのAChE活性には薬剤を施用した昆虫と無処理の昆虫との間に活性の差が認められなかった.以上の結果から, プロパホスのこれら2種の昆虫間における殺虫選択性は薬剤代謝の相違に基づくものと考えられた.
- 日本農薬学会の論文
- 1983-11-20
著者
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風野 光
農業技術研究所
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風野 光
National Institute of Agricultural Sciences
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小山 正一
National Institute of Agricultural Sciences
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小山 正一
National Institute Of Agricultural Sciences:(present Address)niigata Agricultural Experiment Station
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