薬剤感受性に基づくイネいもち病菌の類別
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概要
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いもち病菌菌糸のイソプロチオランおよびIBPに対する感受性を寒天培地希釈法で検定したとき, 菌糸生育阻止率(%)のプロビット値(y)と培地中薬剤濃度(x μg/ml)の間には, y=alog x+bなる直線式が求められた.aとbの値は実験条件が同一であれば一定であるので, ある分離株の感受性は1組の定数(aとb)で, すなわち, a-b軸の直角座標上では一点で表わされた.2, 243の圃場分離株についてaおよびbの値を求めたところ, イソプロチオラン感受性を示す点(a, b)は一群を形成し, すべてa=4.687-0.717bなる直線上に分布した.防除効果試験によっても, これらを複数の群に類別することはできなかった.一方, IBP感受性を示す点(a, b)は, 二つの異なる直線(a=6.167-1.046bおよびa=4.364-0.764b)上に分布していた.IBPの防除効果は後者に属する菌株に対して低く感受性の高い前者とは明確に区別することができた.このように, 培地上での菌糸生育阻止力検定における薬量反応曲線から求めた薬剤感受性は, 防除効果試験の結果とよく合致したが, 完全生育阻止最小濃度(MIC)は防除効果と必ずしも関連がなかった.
- 日本農薬学会の論文
- 1983-02-20
著者
-
荒木 不二夫
日農生物研
-
荒木 不二夫
日本農薬株式会社研究部生物研究所
-
荒木 不二夫
Biological Research Center, Nihon Nohyaku Co., Ltd.
-
荒木 不二夫
日本農薬生物研
-
宮城 幸男
Biological Research Center, Nihon Nohyaku Co., Ltd.
-
広岡 卓
Biological Research Center, Nihon Nohyaku Co., Ltd.
-
広岡 卓
日本農薬 総研
-
荒木 不二夫
Biological Research Center Nihon Nohyaku Co. Ltd.
-
宮城 幸男
Biological Research Center Nihon Nohyaku Co. Ltd.
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