有機リン系殺虫剤による Hill 反応阻害
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概要
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有機リン系殺虫剤のハクサイに対する薬害作用を解明するため, 光合成反応のうちHill反応に対する阻害について調べた.薬害を起こさなかった有機リン剤は, 10^<-4>M以下の濃度でHill反応をまったく阻害しなかった.ハクサイ葉にえ死症状を表わした有機リン剤の場合は, dimethoateのようにまったく阻害しなかったもの, fenthion (MPP)やfenitrothion (MEP)のように50%阻害濃度が10^<-5>Mオーダーのものなど, Hill反応阻害の程度はさまざまであった.クロロシスを起こす有機リン剤は, 強くHill反応を阻害し, 10^<-6>Mのオーダーで阻害が見られた.さらにこのような有機リン剤は, いずれも水溶解度が低いものであった.Hill反応阻害の程度と疎水性との間には相関関係が見られ, 直鎖第1級アルコールおよび酸, およびポリクロルベンゼンを含め, 疎水性の高い化合物ほど, Hill反応を強く阻害する傾向がみられた.疎水性の化合物は葉緑体に結合しやすく, その結果, 電子伝達反応の阻害およびクロロフィルの破壊が起こったと観測した.
- 日本農薬学会の論文
- 1983-02-20
著者
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行本 峰子
National Institute of Agro-Environmental Sciences
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行本 峰子
Agricultural Chemicals Inspection Station, Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries
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