RDV-RNA 転写酵素に対するスカイリンの特異的阻害
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概要
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構造的に近縁な3種の糸状菌生産色素ルテオスカイリン(Lut), ルグロシン(Rug), スカイリン(Sky)について, イネ萎縮病ウイルス(RDV) RNA転写酵素およびE. coli RNAポリメラーゼに対する阻害効果を, それぞれのin vitro合成系を用いて比転した.LutはE. coli RNAポリメラーゼを強く阻害し, RDV-RNA転写酵素は阻害しない.Rugは前者を強く, 後者を弱く阻害する.SkyはRDV-RNA転写のみを阻害する.Mg^<2+>存在下でLut, RugはDNAと, RugはRDV-RNAとも, 複合体を作り, これは59, 000×g 20分の遠心分離で沈殿する.SkyはDNAともRDV-RNAともMg^<2+>存在下で複合体を作らない.RDV粒子をSkyとMg^<2+>で前処理しても粒子は転写酵素活性を保持するが, これに前処理液の上清(Skyを含む)を加えると活性は阻害される.このことから, SkyはRDV-RNAと結合することなく, 粒子の外にあってRNA合成の場に接触してRNA合成を阻害すると推論した.
- 日本農薬学会の論文
- 1976-05-20
著者
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中田 昌伸
神戸大学農学部
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柳 芳和
Faculty of Agriculture, Kobe University
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中田 昌伸
Faculty of Agriculture, Kobe University
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鈴木 直治
Faculty of Agriculture, Kobe University
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柳 芳和
Faculty Of Agriculture Kobe University:(present Address)rohm And Haas
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