2種類の土壌における数種農薬の消失に及ぼす有機肥料長期使用の影響
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概要
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20年以上にわたり異なる肥培管理を受けた黒ボク土および灰色低地土を用い,ジメトエート,フェノブカルブ,フルトラニル,シマジン,プロメトリン,アラクロールの消失速度定数を比較した.多くの農薬の消失速度定数は,バイオマス炭素,バイオマス窒素およびFDA加水分解酵素活性当たりに換算すると,それぞれの土壌の処理区間の変動が小さくなり,農薬の消失が微生物量および活性の影響を受けることを示していた.農薬残留量はアセトン可溶性画分(ASF)と水可溶性画分(WSF)を測定した.農薬の消失はWSFの挙動の影響を受けた.灰色低地土の微生物量および活性値は黒ボク土に比べて小さかったが,それぞれの農薬の消失速度定数は黒ボク土と同等以上であった.このことは,灰色低地土におけるそれぞれの農薬のWSF/ASF比が黒ボク土よりも大きいことに起因していた.有機物の長期連用による消失促進効果は,黒ボク土に比べて灰色低地土で小さかった.このことは,黒ボク土に比べて灰色低地土での微生物の集積効果が小さいことによると考えられる.
- 日本農薬学会の論文
- 2004-02-20
著者
-
大谷 寿一
Faculty Of Agriculture Utsunomiya University
-
鈴木 聡
Tochigi Prefectural Agricultural Experiment Station
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