白内障擬似体験ゴーグルに入射する環境光によって生じる色票の彩度低下

概要

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かすみフィルターと色フィルターよりなる白内障擬似体験ゴーグルによって観測される色の彩度低下の原因は、かすみフィルターによる環境光の散乱であるという推測を測色的にまた心理物理的に確かめた実験である。まず17枚のテスト刺激の色を色彩輝百計を用い戸外で通常の測定、ゴーグルをつけての測定、周囲からの環境光を排除した状態での測定の3通りを行った。環境光を排除したときは色フィルターだけによる色の変化が観測されたが、ゴーグルをつけた場合はどの色においても彩度が大きく低下し、しかも太陽光がゴーグルに直接入射するときに最も大きな彩度低下があった。つぎに同じ17枚のテスト刺激の色を、やはり環境光のある戸外と住宅内でエレメンタリー・カラーネーミング法で心理物理的に測定した。色フィルターだけの時は肉眼による色の判定とほとんど変わらなかったが、ゴーグル着用では全ての色票について色みの量が大きく低下した。これらの測色的、心理物理的測定から、白内障擬似体験ゴーグルを着用すると環境光がかすみフィルターによって散乱的に眼内に人り、対象物の色の彩度を低下させると結論した。
2004-06-01