味覚障害の臨床とQ&A-鼓索神経損傷後の味覚回復と神経再生-, 斉藤武久著, A5版/185頁, 4,200円, SCOM 31, 金原出版, 東京, 2004年5月, IABN-307-50531-X

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概要

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「味覚障害の臨床とQ&A」と題する本書の構成はユニークである。味覚障害についての概説(19-49頁)、鼓索神経損傷による中耳手術後の味覚障害(50-127頁)、患者さんとのQ&A(前者が26頁、後者が27頁)から構成されている。一般に言われる味覚障害の記述より、中耳手術による鼓索神経障害が起こす味覚障害の記述が多く、後者は前者の約2倍ある。前者はほとんどが文献からの引用に基づいて述べられているので、本稿では自験例が豊富に含まれる後者の中耳手術による味覚障害について感想を述べたい。「耳の手術をすると、食べ物の味がおかしくなる」と言うとびっくりされる方が多い。当科でも年間200例の耳手術を行っているので稀ではない現象である。本書ではその機序と対策が詳細に述べられている。まず、鼓索神経が鼓膜裏面外側から中耳腔を走行するという解剖学的特長を詳しく説明している。実際中耳手術を行っていると、鼓索神経が手術操作の邪魔になり、「鼓索神経がなかったらどんなに楽だろう」と何度思ったかしれない。
日本味と匂学会の論文

著者

阪上雅史
兵庫医科大学耳鼻咽喉科

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