稲の分蘗に関する研究 : VII 稻及麦の粉末比重より見たる物質転移に就いて

概要

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1) 水稲,小麦及び裸麦の材料にて出穂期前後から完熟期迄一定期間毎に採取し,穂,果梗,各節間,葉身及び葉鞘等別々に其粉末比重を測定し,夫々粉末比重曲線を作製した。 2) 尚水稲について出穂期前後に分蘗次位別に各部の粉末比重をも測定した。 3) 各比重曲線を次の4期に別けて考察した。 i) 第1停頓期 (出穂及び開花期) 穂の比重曲線はほぼ水平に近い。 ii) 充実期 (乳熟期) 曲線は急上昇。 iii) 第2停頓期 (糊熟期) 曲線ほぼ水平。 iv) 黄熟及至完熟期曲線一時的に上昇。 4)之等の各期に於いて穂の比重の上昇には其時期若くは其前後に於いて必ず節間及び葉鞘の比重曲線の下降を伴う,之に反し穂の比重の下降若しくは停頓の時期には其隣接の節間,葉身及び葉鞘部では曲線の部分的上昇を伴う。 5) 完熟期後には節間に於いて一時的に比重曲線の上昇を伴う。 6) 穂の曲線に対し節間,葉身及び葉鞘の比重曲線との間には大体負の相関々係が存在するようである。仍て,葉身及び節間等の附近から穂へ常に物質の補充転移が行われるに由るものと認められる。
香川大学の論文
1956-12-31