スギの1年輪内に於ける圧縮荷重分担構造及び材質の差異
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概要
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鉄筋コンクリート柱がその軸方向に圧縮荷重を受る場合の荷重分担機構の考え方が,竹片に就ても適用され得る事を筆者^<6)>は確め得たので,更に進めて木材に就てもその考え方が採用され得るであろう事を立証するために,スギ材に就て圧縮試験を行い荷重一歪み曲線の形を研究した.同時に1年輪内の材質及び含水率の差異の存在,並びに比重,圧縮強度及び弾性係数の相互関係に就ても検討を加えた.得られた結果は次の如し. 1. 1年輪を秋材と春材の一部とを含む外半部と春材のみの内半部とに年輪に平行に2分すれば,外半部は試験時比重,圧縮強度及び弾性係数に於て内半部より大であるが,含水率及び最大荷重時の歪みは反対に内半部より小である. 2.気乾状態で外気の湿度と平衡状態にある木材の1個の年輪の内・外半部の含水率の差は全年輪の含水率の大である程大である.含水量は絶乾比重に正比例して直線的に変化し,従つて含水率は絶乾比重に対しては双曲線的(y=a+b/x)に変化する. 3.圧縮荷重の分担機構に就ては,相似型及び類似型の試験片に関しては鉄筋コンクリート柱が圧縮荷重を受ける場合の考え方が採用され得る. 4.荷重一歪み曲線の形は試験時比重,圧縮強度及び弾性係数が大となれば,最大荷重時の歪みは小となり,従つて直線部分の傾斜は急となる.又同時に最大荷重点附近の平坦部も狭くなる. 5.試験時比重,圧縮強度及び弾性係数の相互関係は抛物線式(y=ax^b)で示し得る.最大荷重時の歪みに対する試験時比重,圧縮強度及び弾性係数の関係は指数曲線式(y=a+be^<-cs>)で示し得る.以上の結果から得られた結論は次の如し. 6.現行の木材試験法^<15)>に依る絶乾状態に於ては未だ水分は木材中に残存して居る.従つて同一年輪内では絶乾比重の小である春材のみの内半部の含水率が秋材と春材とを含む絶乾比重の大な外半部より大となる. 7.木材が繊維方向に圧縮荷重を受ける場合には,竹片^<6)>と同様に鉄筋コンクリート柱の荷重分担機構に対する考え方が適用され得る. 8.小木片に於ける試験時比重,圧縮強度及び弾性係数の相互関係は,標準型試験片に就ての関係と同一に取扱い得る.
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