穿孔を繰り返したS状結腸単純性潰瘍の1例
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概要
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症例は46歳の男性. 過去20年間に4回のS状結腸穿孔があった. いずれも肉眼所見はS状結腸の打ち抜き様穿孔で, 組織学的には非特異的炎症の穿孔であった. 腹痛を主訴に当院受診. 消化管穿孔にて緊急手術を施行したが, 過去の手術時の肉眼所見, 組織学的所見と同様であった. 自験例は, (1)26歳時に発症し, (2)常習性便秘はなく, (3)憩室を認めない吻合部近傍に打ち抜き様穿孔を繰り返し, (4)組織学的に肉芽腫はなく, (5)Behcet病の所見もなく, (6)術後10が月目の大腸内視鏡検査にて吻合部近傍に潰瘍瘢痕を認めたことよりS状結腸単純性潰瘍と診断した. 単純性腸潰瘍の術後再発率は高いが, ある程度は, 自然治癒する可能性と軽度な病変に対する内科的治療の有効性が認められている. 自験例の様に何らかの治療が加わらなければ穿孔を繰り返すおそれがあり, 軽度な病変で発見し早期に治療することの重要性が強調される.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 1999-03-01
著者
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