単純性小腸潰瘍多発穿孔の1例
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概要
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単純性小腸潰瘍はまれな疾患で, 近年報告例が増加してきたとはいえ, いまだ確立した単一の疾患とは言いがたい.多発性小腸穿孔および胃潰瘍をきたした単純性小腸潰瘍と考えられる1例を経験したので報告する.症例は49歳の男性, 嘔吐を主訴に当院受診入院, 腹部CTにて, 小腸全体の拡張・回腸の壁肥厚を認め, 腸閉塞を呈していた.腹部CT後タール便を認め, 胃内視鏡検査を施工, 胃角部にUl-IVの難治性潰瘍を認めた.腸閉塞は次第に軽快したが, 突然腹痛出現, 穿孔性腹膜炎の診断にて緊急手術施工.回腸終末部腸間膜付着部対側に2か所, Treitz靱帯近傍空腸腸間膜付着部対側に2か所の打ち抜き様穿孔を認めた.回盲部切除, 空腸穿孔部単純閉鎖を施工.組織学的に非特異的炎症の穿孔であり, Behcet病の症状もないため単純性小腸潰瘍と診断された.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 2001-01-01