消化器の Functioning Tumor の病理
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概要
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消化器の機能性腫瘍について免疫組織化学により産生物質の局在を明らかにし, 病理組織型や銀反応陽性細胞との照合を行った. 膵癌50例で膵島ホルモン細胞を証明できたのは, グリセリン18例, インスリン17例, ソマトスタチン16例で, うち14例が3種とともに陽性であった. これは正常膵の膵管上皮内に内分泌細胞を証明したことと関連する. 消化管のカルチノイドには脳・消化管ホルモン産生細胞がしばしば含まれるが, 特に直腸カルチノイドではグリセリン, ソマトスタチンおよびβ-エンドルフィンの3種細胞を高率に証明した. 消化管の癌の中には, まれにカルチノイドに類似の組織像を示す例があるが, 明らかな胃腺癌であっても81例中11例に脳・消化管ホルモン細胞をみとめ, 陽性率は分化型の管状腺癌に高く, 腸腺型の癌との関係を示唆した. 大腸と胆嚢の腺腫で明らかな Paneth 細胞を含み, 小腸腺型とみられる部位ではやはり銀反応陽性細胞がしばしばみられ, グリセリンとソマトスタチンが陽性であった. これらの事実から, 膵島腫瘍と膵癌, 消化管のカルチノイドと癌との間には, ホルモン産生能に関して明確な一線を引くことができないと結論された.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 1982-11-01
著者
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