大腸癌肝転移症例の時間学的検討
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概要
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大腸癌肝転移症例ではcarcinoembryonic antigen doubling timeとtumor doubling timeの値はほぼ等しい.この事実に基づいて大腸癌肝転移症例30例について時間学的検討を行い以下の結論を得た.1)大腸癌肝転移症例の無治療例,または無治療に準じる症例は肝転移巣が平均41・5回doublingすると死亡した.2)肝転移巣は原発巣切除時の平均4年7か月前に増殖を開始していると推定される.3)肝転移巣は血中CEA値が指数関数的上昇を開始するまでに平均32.6回doublingしている.4)肝転移巣が画像診断で発見される時,肝転移巣は平均35回doublingしており,その直径は3.2cmに相当する.5)以上の結果より大腸癌肝転移症例では肝転移巣が臨床上明らかとなった時点ではそのnatural course(肝転移から死亡まで)のほぼ3/4を経過しているといえる.このような時間学的側面を理解することは大腸癌肝転移症例の診断と治療に非常に重要であると考える.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 1991-07-01
著者
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