腹腔ドレーン排液のトリプシンおよびアミラーゼ同時測定の臨床的意義について
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概要
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消化器外科手術後のドレーン排液中のアミラーゼ活性は古くから縫合不全や膵液瘻の診断に用いられてきたが,細胞障害の主役である膵プロテアーゼに関する報告は少ない.そこで腹腔ドレーン,膵管チューブ排液および膵嚢胞穿刺液のアミラーゼおよびトリプシン活性を同時に測定し以下の結果をえた.アミラーゼ活性は上部消化管の縫合不全や膵液瘻では100 Somogyi U/dlより高値を示し100,000 Somogyi U/dl前後までの幅があった.一方トリプシン活性はErlangerらの方法で測定したが,縫合不全では340〜825U/mlであり,膵液瘻では1.5〜80U/mlであった.また純粋な膵液では1〜9U/mlであった.トリプシン活性が10U/ml以下で,しかもアミラーゼ活性が100 Somogyi U/dl未満の場合は膵液の混入がないと判断してもよかった.アプロチニンの静脈内投与によりアミラーゼ活性は影響されなかったがトリプシン活性は阻害された.以上よりドレーン排液のトリプシンおよびアミラーゼ同時測定は消化器外科の術後管理に有用と思われた.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 1991-05-01
著者
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