短期間に巨大に発育した大網原発平滑筋肉腫の1例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
症例は66歳の女性.主訴は腹部膨満感,左上腹部痛.腹部は著明に膨満し,巨大腫瘤を触知した.腹部computed tomography(以下,CTと略記)などにより,内部構造が不均一な充実性腫瘤を認め,胃や腸管などを強く圧迫していた.患者は1年6か月前にも腹部CTが施行されているが,この時には腹腔内に腫瘤は認められていない.また,4か月前の上腹部消化管造影でも圧迫所見などは認められていない.腹腔動脈造影で,腫瘍は拡張した左胃大網動脈より栄養されており,大網悪性腫瘍の診断にて開腹術を行った.腫瘍は大網より発生し,大きさ30×25×10cm,重量3,600gであった.病理組織学的には多形性の著明な紡錘形腫瘍細胞の増殖により形成される平滑筋肉腫であり,多数の核分裂像もみられることから腫瘍の急速な発育が示唆された.本症は早期発見が困難で予後は悪い.特徴的な症状を伴わず,急速に発育することが一因であり,積極的な検査が必要であると考えられた.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 1996-11-01
著者
関連論文
- 5 内視鏡的陰圧下食道粘膜切除術 (np-EEM) : 他臓器癌や合併症を有する症例に対する早期食道癌完全切除の試み(第39回日本消化器外科学会総会)
- 体液性高カルシウム血症を併発した上行結腸未分化癌の1例
- 直腸内分泌細胞癌の1例(小腸・大腸・肛門24, 第60回日本消化器外科学会総会)
- PPS-3-015 腹腔細胞診陽性であった早期胃内分泌細胞癌の1例(胃カルチノイド他)
- 短期間に巨大に発育した大網原発平滑筋肉腫の1例
- 34. 肝硬変を合併した胆石症の検討(第18回日本胆道外科研究会)
- P-212 黄疸を伴った十二指腸絨毛腺癌の一例(第36回日本消化器外科学会総会)
- 直腸肛門部無色素性悪性黒色腫の1例
- 胆石様胆道閉塞像を示した原発巣不明胆管内発育型肝細胞癌の1例
- 巨大肝嚢胞に対する腹腔鏡下開窓術の経験