回腸嚢肛門吻合術後の回腸嚢炎

概要

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1947年Ravitchらによりはじめて行われた全結腸切除,直腸粘膜切除,回腸肛門吻合術(回肛門吻合術)は潰瘍性大腸炎および大腸腺腫症に対して根治性と機能性の両者の目的を満たす理想的な手術であったが,その手術手技の難度が高いこと,合併症の多さ,排便機能の不満足なことから一般的な治療法として受け入れられるに至らなかった.1977年,著者らの一人宇都宮は独自の方法を考案し,その問題解決に取り組み現在では広く世界においてその方法が追試され,潰瘍性大腸炎および大腸腺腫症に対する術式として普及しつつある.本術式に特有の早期合併症として筋筒膿瘍があげられるが現在では手術手技の工夫,術後管理の向上などによりその頻度は著減している.一方,本手術特有の後期合併症である回腸嚢炎は下痢,下血,発熱,腹痛を主徴とし,患者のquality of lifeと影響を与えるばかりでなくまれながら回腸嚢切除を余儀なくされることもあり問題となりつつある.私共も現在までにすでに発表した術式で39例の回肛吻合術(潰瘍性大腸炎22例,大腸腺腫症17例,回腸瘻閉鎖後1〜39か月,平均16.1か月)を完成しているが,このうち4例10.3%(潰瘍性大腸炎3例13.6%,大腸腺腫症1例5.9%)に回腸嚢炎を経験したので報告する.
一般社団法人日本消化器外科学会の論文
1989-04-01

回腸嚢肛門吻合術後の回腸嚢炎

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