肝硬変例における肝機能検査値と肝の病理形態学的指標との関連について

概要

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肝硬変併存肝癌例の耐術評価に用いられている肝機能検査が, いかなる肝の形態的所見を反映しているか, 画像解析装置を用いて検討した. 肝硬変併存肝癌16例の肝実質の数か所から得た組織切片から単位体積あたりの肝細胞数と肝実質比を測定した. それに CT 像から求めた肝容積とを組み合わせて肝細胞量や肝実質量および肝細胞総量を算出して形態的所見の定量化を試みた. さらに, これらの指標と ICG 負荷試験値 (ICGR15) や一般肝機能検査値とを比較検討した. ICGR15 と, 実質比や単位体積あたりの細胞数および細胞量とは, r=0.506(p<0.01), r=-0.655(p<0.003), r=-0.620(p<0.01)とそれぞれ相関したが, 肝実質細胞総量とは相関しなかった. 以上より, 肝硬変の病理形態的特徴を定量化することにより, 肝実質比や単位体積あたりの肝細胞数および肝細胞量などの組織形態所見から肝機能をある程度, 推測することが可能であった.
一般社団法人日本消化器外科学会の論文
1994-11-01