巨大な肝転移をきたした直腸カルチノイドの1切除例
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概要
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症例は58歳の女性. 主訴は右季肋部痛. 注腸造影, 直腸鏡にて直腸に 9mm 大の中央が陥凹する表面平滑な腫瘍を, 腹部 computed tomography(CT), ultrasonography(US) にて肝右葉全体を占める直径 15cm の腫瘍を認めた. 顔面紅潮, 著明な発汗などのいわゆるカルチノイド症候群を呈し, 生化学的検索にて血中 serotonin, 尿中 5-hydroxyindole acetic acid(5HIAA) の異常高値がみられた. 直腸および肝生検の組織所見より直腸カルチノイドの肝転移と診断し, 開腹術を施行した. 直腸周囲リンパ節, 肝以外に転移を認めず, 直腸切除術および肝右3区域切除術を施行した. 術後7か月を経過した現在再発の徴候なく健在である. 腫瘍径 1cm 未満で巨大な肝転移をきたすことはまれであるが, 根治術可能であれば, 積極的な外科的治療法が有効であると思われた.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 1993-07-01
著者
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山田 靖哉
大阪市立大学 大学院医学研究科腫瘍外科学講座
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若狭 研一
大阪市立大学医学部附属病院病理部
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前田 清
大阪市立大学大学院腫瘍外科
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石川 哲郎
大阪市立大学大学院腫瘍外科
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西村 重彦
大阪市立大学第1外科
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曽和 融生
大阪市立大学第1外科
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池原 照幸
大阪市立大学第一外科
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奥野 匡宥
大阪市立大学第一外科
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西野 裕二
大阪市立大学第1外科
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有本 裕一
大阪市立大学第1外科
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新田 敦範
大阪市立大学第1外科
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