1期的手術を行い長期生存した食道静脈瘤併存肝細胞癌の1例
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概要
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患者は68歳の女性で吐血を主訴に来院.上部消化管透視,食道内視鏡検査で食道静脈瘤を認めた.CT検査で肝左葉外側区域S_3に腫瘍を認めた.食道静脈瘤併存肝細胞癌と診断し,肝左葉外側区域切除の上,胃上部血行郭清を伴う消化管自動吻合器(EEA)を用いた経腹的食道離断術,脾摘出術を1期的に行った.術中術後には肝硬変の病態に即した管理を行い特に合併症もなく退院した.摘出標本の病理組織学的検査で腫瘍はEdmondson II型に相当する肝細胞癌で非腫瘍部は高度の肝硬変症であった.術後5年10か月目に肝癌の再発を認め,肝動脈塞栓術を1回行ったが7年5か月目に癌死した.食道静脈瘤の再発は認めなかった.以上の結果から肝癌が外側区域に限局していたため,根治切除が出来,さらに腫瘍が小型で厚い被膜に被われ,脈管浸潤もなく直達手術により静脈瘤の再発もなかったため,長期生存につながったものと考える.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 1993-01-01
著者
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