胃切除後逆流性食道炎に対する再手術の経験

概要

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胃切除後に発生する後遺症の1つである逆流性食道炎は,患者に与える苦痛も症例によってはかなり激しいものもあり,外科医としてはぜひとも防がなければならないものである.しかしその発生頻度は実際にはかなり高く,遠藤らによれば,内視鏡的に検索した426例の胃全摘症例では35%に認めており,また,近位側胃切除例についてみると,遠藤らが25%,津田らが76.5%,林田らが85.7%と極めて高頻度であることがわかる.さらに幽門側胃亜全摘後のBillroth I法,II法でも渡辺によると前者が29%,後者が25%とこれもまた高頻度である.しかし,多くの症例においては,保存的治療法が効果的であり,長期的にみると,漸次症状が軽減してゆく症例がほとんどといわれる.しかし,これらの症例の中には,保存的治療に抵抗し,外科的治療を加えなければならない症例も存在すると思われるが,再手術を行ったという症例報告はきわめて少なくその実態は明確でない.今回われわれは,術後逆流性食道炎が保存的治療に抵抗し,内視鏡的にも,愁訴の面でも改善をみなかったため,外科的に治療を行った2症例を経験したので若干の考察を加え報告する.
一般社団法人日本消化器外科学会の論文
1988-12-01