原発性肝内結石症における胆管狭窄の臨床的意義 : 切除肝の臨床病理学的研究
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概要
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肝門部胆管および肝内胆管に狭窄が認められる50例を検索し,この狭窄部が肝臓に及ぼす臨床的意義を検討した.狭窄部胆管領域の肝臓は非狭窄部の肝臓に比べ肉眼的に正常な外観27例,肥大8例,萎縮15例で肝内胆管結石の有無に関係のない変化であった.さらに肝切除を施行した27例と剖検の2例の切除肝の組織学的変化は,グリソン鞘における線維化,偽胆管増生,炎症細胞浸潤であり,肉眼的変化より著しい変化が認められた.切除肝の外観と年齢の関係では正常な外観の症例は47.6±16.1歳であるのに対し,肥大61.6±5.3歳,萎縮60.0±12.8歳でこの所見は肝の経時的変化として肥大,萎縮へと進行する退行性変化が示唆された.この変化の原因は結石の存在よりも狭窄の役割が第一義的で肝切除や拡大胆管切開術による狭窄部の除去がその根治療法であることを示唆するものである.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 1985-11-01
著者
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