腹壁に穿破し膿瘍を形成した虫垂炎の1例
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概要
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我々は前腹壁に穿破し膿瘍を形成したまれな虫垂炎症例を経験したので報告する.症例は32歳の男性.発熱と右下腹部の発赤のため当院紹介された.入院時,右腸骨稜内側に圧痛を伴う手拳大の硬結を認めたが,腹部の他の部位に圧痛を認めなかった.血液検査では白血球12,900/mm^3, CRP 11.4mg/dlと炎症反応を呈していた.硬結部の超音波検査で内部に高輝度域の散在する紡錐形の低エコー域を認め,腹壁膿瘍と診断した.腹部CTで膿瘍直下の腹腔内に炎症性腫瘤を認めた.注腸検査で虫垂は造影されなかった.以上から,虫垂炎による腹壁膿瘍と診断し手術を施行した.開腹すると虫垂先端が前腹壁に埋没していた.虫垂切除術を施行し,閉腹後に膿瘍を切開した.皮下から内腹斜筋問に多量の白色膿を認めた.十分に排膿,洗浄し,嫌気性菌感染を疑い開放創とした.培養でBacteroides Fragilisが検出された.術後は良好に経過した.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 2003-05-01
著者
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