ドレナージ治療中に多発性脳膿瘍を続発した急性膿胸の一例
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概要
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症例は60歳の男性.胸痛と発熱を訴え当院受診した.胸部X線写真上左胸水を認め, 膿胸の診断にて1996年9月2日入院した.胸水から有意な菌を認めなかったが, 塩酸セフォゾプランを投与し, 胸腔ドレナージを行い, ポピドンヨード希釈液で連日胸腔内洗浄を行った.徐々に臨床症状は改善し9月下旬抗生剤を中止した.膿胸腔は縮小したが残存したため, ドレナージ, 洗浄を続行した.10月20日多発性脳膿瘍を併発し, てんかん発作が出現した.同時期に, ドレーンを固定している伸縮性粘着包帯に刺入部から漏出した胸水が染み込み, 皮膚化膿疹を生じMRSAが検出された.漏出した胸水中にMRSAが存在したためと考えられた.菌交代現象が疑われ, 塩酸バンコマイシンの投与を開始した.その後てんかん発作は軽快し脳脳瘍の改善が得られ, 膿胸腔も著明に縮小した.膿胸治療中, 菌交代は十分起こりうる現象であり, 細心の注意が必要であると考えられた.
- 特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会の論文
- 1999-01-15
著者
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