Iタイプ花崗岩とSタイプ花崗岩の風化断面における鉱物粒径特性と石英の微小破砕形態 : 東オーストラリアにおける二,三の予察的観察(<特集>地形プロセスにおけるロックコントロール)
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概要
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乾燥気候下において花崗岩類は極めて安定でほとんど変質しない.しかし水の攻撃には極めて弱く,水の供給がある場所では急激に破砕する.その結果,花崗岩類は残積性の石英の重要な供給源となる.石英の中に微小な破砕が始まる様式は,岩石が風化してバラバラになる残積性石英の粒径に影響を与えるであろう.本研究の目的は,オーストラリアの東ニューサウスウェールズに分布するIタイプ花崗岩とSタイプ花崗岩において,花崗岩の物理的風化における黒雲母の変質の役割を検討することと,石英の破砕とそれに続く細砕を引き起こす現位置風化プロセスの能力とを検討することである.結果は次のことを示した:粒子の粒径の多様性は母岩の鉱物粒子の部分的な差異によってもたらされてはいるものの,風化断面においては粒子の粒径は上方に向かうに従い系統的に小さくなっている.このことは風化岩屑の中で角張った新たに破砕された石英の100μm以下の細粒物の量が増加していること,コアストーンの破片における石英粒子中に非常に良く発達した微小破砕のシステムに付随して起こっている.このパターンはIタイプ花崗岩とSタイプ花崗岩の両方で見られる.そしてこのパターンは,風化が進行するにしたがい,粒子の進行的破壊があることを示唆している.コアストーンの破片から作成した薄片の岩石学的観察および走査型電顕観察は,岩石破砕と黒雲母の存在との間に強い関係があることを示した.しかし,微小破砕の発達程度はトータルな黒雲母含有量よりも岩石マスの中での黒雲母の分布特性に密接に関係しているようである.
- 2002-03-25
著者
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