レス質シルトの供給源となる花崗岩類の風化帯について(<特集>レスと風成塵)
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概要
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深成岩の深層風化帯には,シルトサイズの石英が多く含まれている.この深層風化帯が氷食作用を受けて,第四紀レス母材の給源になった可能性を明らかにするために,東オーストラリアの花崗岩類風化帯の粒度組成と粒子の微細構造を分析した.風化帯にはシルトが多く含まれ,最も多い層準では37.7%に達し,その量は732.6kg/m^3に達する.風化帯の上方ほど粒子が細かいのは,風化作用によって粒子が破砕され,シルトが生産されたことを示している。風化した岩層中に含まれる未風化で角張った微細石英(<100μm)は大径の石英が風化作用によって細かく砕けたものと考えられる.その理由は,風化した岩層中の石英砂や基岩片に含まれる石英には網目状の亀裂ができており,しかも風化帯の上部ほど亀裂密度が高いからである.おそらく風化の進行とともに石英粒の弱線にそって破砕システムが進行すると考えられる.以上のことは,最も風化の著しい花崗岩質岩の風化層準に含まれるシルトがレスの重要な母材になっていることを示唆する.
- 2002-12-25
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