アクリルアミドによる脳クレアチンキナーゼ活性抑制 : 部位別の変化と加齢の影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
アクリルアミドの脳クレアチンキナーゼ(creatine kinase, 以下CK)活性への影響について調べた. In vitroでは, ヒト脳由来の精製CK活性は, アクリルアミドおよびビスアクリルアミドによって量依存性に同程度に抑制された. CK活性の阻害は両物質とも非競合型であった. In υivoではアクリルアミド曝露群ラットで後肢の異常肢位および歩行障害が認められた. 脳CK活性の部位別の比較で, アクリルアミド総投与量150mg/kg体重で, 小脳虫部, 大脳皮質, 視床下部のCK活性は同程度に抑制されたが, 300mg/kg体重では, 視床下部での抑制は小脳虫部, 大脳皮質に比べて大きかった. 総投与量400mg/kg体重における視床下部での抑制は, 線条体を除く6部位と比べて大きかった. ビスアクリルアミド曝露群ラットで体重減少は認められたが, 後肢の異常肢位, 歩行障害および脳CK活性抑制は認められなかった. |^l4Clアクリルアミド投与後24時間の14C脳内分布に, 部位別に大きな差は認められなかった. 52週令ラットは, 8週令ラットに比べて少量のアクリルアミド曝露で死亡したが, アクリルアミドによる脳CK活性抑制の差は認められなかった. ラット脳のCK比活性はヒト脳での分布によく類似していた. アクリルアミドによる中枢神経障害を, 脳CK活性の観点より論じた.(1991年11月15日 受付,1992年1月13日 受理)
- 産業医科大学学会の論文
- 1992-03-01
著者
関連論文
- 蘇生・救急医学教育の一環としての救急車体験試乗実習 : 10年間のまとめ
- 慢性有機溶剤曝露者への神経行動学的検査法の応用
- 日本語版Profile of Mood States (POMS,感情プロフィール検査)の各質問が表す気分の解釈に関する検討と有機溶媒曝露者への応用
- 529 塩化メチル水銀のラット脳クレアチンキナーゼ活性に及ぼす影響(水銀,一般演題,第64回日本産業衛生学会・第50回日本産業医協議会)
- 28.アンモニア投与による脳中および血中アンモニア濃度変化(一般演題,平成3年度九州地方会)
- 11.アンモニア投与マウスにおける脳エネルギー代謝変化
- 4.急性アンモニア中毒の脳エネルギー代謝への影響(一般演題,第2回産業神経・行動学研究会)
- 6.アンモニアのマウス脳エネルギー代謝へ及ぼす影響(一般講演,平成2年度九州地方会)
- 自動体外式除細動器(AED)と産業医学
- 24.有機溶剤健診における検査項目選定の現状と問題点(一般演題,平成3年度九州地方会)
- メタノールートルエン系の混合有機溶剤における気液平衡関係 : メタノールの異常に高い気相濃度
- 913 酸化エチレン慢性毒性の性差 : 肝シトクローム P-450(農薬・有害ガス,一般演題,第63回日本産業衛生学会・第48回日本産業医協議会)
- 911 フローサイトメトリーを利用した精巣障害の客観的評価法 : 酸化エチレンによる精巣障害(農薬・有害ガス,一般演題,第63回日本産業衛生学会・第48回日本産業医協議会)
- 702 市販シンナー吸入によるメチルアルコール中毒発生の危険性について(有機溶剤,一般演題,第63回日本産業衛生学会・第48回日本産業医協議会)
- エチレングリコールの肝シトクロームP-450に及ぼす影響
- 酸化エチレン慢性毒性の性差 II.肝のグルタチオン代謝系と脂質過酸化反応への影響
- 7.市販シンナー吸入によるメチルアルコール中毒の可能性(一般演題,第18回有機溶剤中毒研究会全国集会)
- シンナー中毒による視神経障害
- 北九州市洞海湾の底泥の細菌叢調査
- 産業医大病院地下ピット工事に伴う細菌感染症予防のための汚泥の細菌叢検査
- 7.シンナー嗜癖者におけるメタノール曝露 : 血中トルエンとメタノール濃度の比較(第9回産業神経・行動学研究会)
- 3.有機リン中毒における血液潅流の意義
- アクリルアミドによる脳クレアチンキナーゼ活性抑制 : 部位別の変化と加齢の影響
- 11.DHPにより一過性に症状増悪をみたスミチオン中毒の一例
- 遅発性スミチオン中毒
- 職場における心肺蘇生法講習の実態と産業医の関心
- 左肺上葉切除中冠動脈スパズムを生じた1例
- 投稿 就業中の化学物質曝露中毒の情報提供のあり方
- P35 インターネット上に見る救急医療情報
- 慢性有機溶剤曝露者への神経行動学的検査法の応用
- 産業事故による急性中毒--患者を守り地域を護る (中毒--その現状と基礎知識)
- 45. 労働災害における化学物質中毒の情報提供のあり方 (第15回産業医科大学学会総会学術講演会記録)