超越における上昇と下降 : 東西の人間観・神観の出会いのために
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概要
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世界観は, 超越者との出会いによって変容するが, この出会いの解釈や表現は, 一定の風土や伝統, 気質や教育環境, 他国の文化的影響などによって, 実に多種多様である. だが仔細に検討すると, 宗教的超越には, 心の二つの焦点: egoとselfの強弱関係によって, 上昇的と下降的との二つの方向が存在するように思われる. 概して西洋では前者が, 東洋では後者がより特徴的であるが, 両者は截然と二分できるものでもない. 西洋と東洋という概念も単なる空間的概念というより, 一が他を補完的原理として含む心的概念と考えることができよう. 本稿は, egoとself, 超越の両方向を, いわば隠顕倶成的・矛盾相即的に含み合う, より統合的な人間観と神観に関する一試論である.(1985年5月17日 受付)
- 産業医科大学学会の論文
- 1985-06-01
著者
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