現代日本人の腓側足底腱膜の変異
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概要
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ヒトの足底鍵膜は〓側鍵膜と腓側腓膜とからなり, その腓側鍵膜の形態は踵骨隆起内側突起に起始し, 第5中足骨粗面に停止する外側腓線維束と, それより内側に向かう内側腓線維束とからなることが知られている. 外側社線維束は恒常的に存在するものであるが, 内側鍵線維束は多様な変異形態が観察されている. 日本人における多様性についての研究はまだ不完全であった. 本研究はこの内側腓線維束の変異について現代日本人39例をもちいて観察したものである. 結果として, 内側鍵線維束が経側鍵膜の深層に達する例は69.2%を示し, 外側筋間中隔に終わる例は10.3%を示す. また内側鍵線維束の欠損する例は20.5%を示す. これらの変異型の出現頻度を工藤による日本人の結果と比較するとχ2検定法では有意差を示さない. ヨーロッパ人を研究したLothによる結果との比較ではこれらの出現頻度は5%の危険率で有意差があることが判明した. このことから内側鍵線維束の変異は人種間において差があるものと考えられる. またこの内側鍵線維束の存在する例においては外側筋間中隔の一部を形成し, 小指屈筋1および母指内転筋横頭の一部筋束の起始を与えるものなどが観察された.(1982年11月15日 受付)
- 1983-03-01