自己免疫性甲状腺疾患における各種血中TSH受容体抗体の存在意義 : 特にバセドウ病における阻害抗体(TSBAb)の出現について
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概要
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血中に見出される甲状腺刺激阻害型抗体(TSBAb)は, 原発性甲状腺機能低下症の原因として重要であるが, 稀に抗甲状腺剤(MMO治療後に機能低下症となったバセドウ病での出現も知られている. 今回, バセドウ病79症例において, 未治療およびMMI治療後の120検体でTSBAbを測定した. TSBAbはブタ甲状腺培養細胞を用い患者血清とTSHを同時添加して増加するcAMPの活性抑制で測定した. その結果9症例(11.4%)にTSBAb陽性のバセドウ病を見出し, また, この9例のうちの6例で未治療時にもかかわらすTSBAbの出現していることを初めて見出し, 2例の治療例では妊娠時のバセドウ病増悪時にTSBAbを認めた. TSBAbの出現した全例においてMMIによる治療中に再発を繰り返し, 薬剤による制御が困難であった. 以上よりTSBAbは機能低下症との関連のみならず機能元進時のバセドウ病においても出現し, ATDにおける抗TSH受容体抗体の多様性を考える上で興味深い知見である.
- 産業医科大学学会の論文
- 1989-12-01
著者
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