消化性潰瘍形成機序における胃粘膜防御諸因子の異常
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概要
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塩酸およびエタノールによる急性潰瘍形成過程と, 胃粘膜血流(GMBF), 水素イオン逆拡散(HBD), 並びに重炭酸塩(HCO3-)分泌の相関について検討した. ともに, 用量依存的に粘膜病変を拡大する条件下で, GMBFの早期の低下とそれに続く回復増加, 初期に頂値を持つHBDの亢進, 並びにHCO3-分泌の増加を認めた. このことより, GMBFの低下とHBDの亢進が急性潰瘍形成過程に密接に関与していることが示唆された. さらに, prostaglandin(PG)の胃粘膜保護作用について検討した. PG投与により用量依存的に病変は抑制された. この時, GMBFに有意な変化は認められなかった. HBDは用量依存的に抑制されたが, エタノール非投与対照群の値にまでは改善されなかった. HCO3一分泌は用量依存的に増加した. このことより, PGの胃粘膜保護作用は血流改善作用が主体をなすものでなく, HBDの抑制やHCO3一分泌の刺激などを含めた, 胃粘膜関門強化作用であることが示唆された.(1987年11月13日 受付)
- 産業医科大学学会の論文
- 1988-03-01
著者
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