ラット視索上核ニューロンのCa^<2+>クリアランス機構

概要

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神経細胞は細胞内Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>]_i)を上昇させることにより興奮性制御、神経伝達、さらには遺伝子発現などの多くの重要な機能を調節している。上昇した[Ca^<2+>]_iは速やかに元の状態に復帰させることが種々の細胞機能を調節するためにも、細胞死や癌化を防ぐうえでも重要であると考えられている。この[Ca^<2+>]_iの下降機構(Ca^<2+>クリアランス機構)には細胞膜に存在するCa^<2+> pumpおよびNa^+/Ca^<2+>交換、細胞内Ca^<2+>ストアおよびミトコンドリアへのCa^<2+>取り込み、細胞質内に存在するCa^<2+>緩衝蛋白などが関与していることが知られている。我々は下垂体後葉の視索上核ニューロンの神経終末においてCa^<2+>クリアランス機構を解析し、神経終末においては細胞膜に存在するCa^<2+> pumpが最も重要な役割を果たしていることを明らかにした。本研究ではラットの視索上核の急性単離ニューロンにおいてCa^<2+>感受性蛍光色素であるFura-2を用いて顕微画像解析装置による[Ca^<2+>]_i測定を行い、細胞体ならびに樹状突起におけるCa^<2+>クリアランス機構を解析した。細胞外のK^+濃度を5mMから50mMに上昇させ、再度5mMに戻すことにより、視索上核の細胞体において再現性のよい速やかな[Ca^<2+>]_i上昇とそれに引き続く比較的緩やかな下降が生じた。この[Ca^<2+>]_i下降相にNa^+/Ca^<2+>交換を抑制する細胞外Na^+のNMDGへの置換、細胞内Ca^<2+>ストアのCa^<2+> pumpの阻害剤thapsigargin、ミトコンドリアのCa^<2+>取り込みの阻害剤CCCP、細胞膜のCa^<2+> ATPaseの阻害剤La^<3+>はそれぞれ有意な遅延作用を生じた。これらの結果は細胞体においては、Na^+/Ca^<2+>交換、細胞内Ca^<2+>ストアへとミトコンドリアへのCa^<2+>取り込み、および細胞膜のCa^<2+> pumpによるCa^<2+>排出の全てがCa^<2+>クリアランス機構に関与していることを示唆している。
産業医科大学学会の論文
2002-03-01

ラット視索上核ニューロンのCa^<2+>クリアランス機構

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