IT時代の産業医学 : 産業医学におけるIT技術活用
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概要
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この20年間のIT(情報化)技術が社会全体に与えた影響は極めて大きく、産業活動に関わる産業医学にも大きな影響を与えた。この講演では、この20年間のIT化による産業医学への影響と産業医大が産業医学の情報化に果たしてきた成果をまとめ、今後産業医大が産業医学の情報の中心として成すべき方向性について提言する。1989年小出元副学長を中心に産業医学の情報化に関するIBMとの共同研究が行われ、その当時の産業医学の情報化に関するサーベイが行われた。その結果を踏まえ、この10年間に産業医学の情報化の努力がなされ、図書館データベース(以下、DB)、産業保健文献DB、研究者業績DB、産業保健実務相談窓口、実務事例DB、産業保健メーリングリストなど、共同研究で検討された企画が実際の成果となった。IT技術による産業医学への影響には、産業医学関係のDBや産業医学スタッフのIT化のような直接的影響と企業活動・作業内容のIT化による新たな産業医学課題の発生のように間接的影響がある。直接的影響としては、DB・学会雑誌の公開や電子メール情報連携を生み、その中心として産業医大は貢献してきた。また、産業医学スタッフによる遠隔指導・企業内健康情報ネットワークとなり、産業医学活動の可能性を広げた。間接的影響は、社会・文化・企業・従業員の作業内容・健康管理に至るまで広範に及び、業務の迅速化・製造業の海外移転・サービス産業への移行・VDT作業・テクノストレス・プライバシー保護などの新たな産業医学上の課題となった。今後は、新たな産業医学上の課題に取り組むとともに、IT技術基盤を通じて産業医学の成果を社会に反映させていく必要がある。産業医大は、産業医学に関する教育・研究・情報提供・人材供給を一括して行える唯一の機関として、日本ばかりではなく世界に広く貢献する社会的責任がある。
- 産業医科大学学会の論文
- 2002-03-01
著者
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