DNA学と臨床遺伝学の違い
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概要
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広辞苑に「遺伝とは、親から子・孫に体の形や色などの伝わる現象」と書いてある。しかし、今から100年前にメンデルは、豌豆を使って「親から子に形や色が伝わらない現象を発見し、劣性遺伝の存在を考えた。」その後、遺伝子の本体は、すべての生物の細胞核にある化学物質のDNAであることが分かり、遺伝学は個体差の学問といわれるようになった。「遺伝は、遺伝子の伝達と、伝わった遺伝子から体と心ができる」ことと、さらに、遺伝子は生物の生存に関係することが分かり、エンゲルスにならって「生物は遺伝子の存在様式である」と言えるようになった。しかし現在の社会では、DNAの知識は経済効率(金儲け)のみが重視され、メンデルの原則を忘れた「DNA学」が跋扈する時代になった。DNA学の最大の弱点は、「遺伝病患者の人権」を守れず、「ヒトの生存」を守る視点を欠如している点である。
- 日本生命倫理学会の論文
- 1998-09-07